【スレート屋根の剥がれ・割れ問題】グリシェイドNEOやパミールの屋根塗装・補修事例と見極め方

2026年8月29日

こんにちは、つくば市・土浦市で外壁塗装・屋根塗装を手がけるペイントプロツツイ(TNPサービス)の筒井です。

今回は、過去に反響の多かった「スレート屋根の割れ・剥がれ問題」に関する記事を、最新の知見を踏まえて加筆・再投稿いたしました。


2020年年末にご相談いただいた、少し(かなり)対応が難しかった屋根の塗り替え事例をご紹介します。

工事前のノンアスベスト屋根(グリシェイドNEO)

この記事では、以下のポイントについて分かりやすく解説します。

  • 無石綿(ノンアスベスト)屋根材でトラブルが発生する原因と経緯
  • ハウスメーカーとの協議・補修対応の進め方
  • 塗装による延命措置の施工手順と実際の限界

1. 築17年のスレート屋根に潜む「違和感」と原因の特定

現場は築17年(2003年・平成15年建築)のお住まいで、外壁・屋根塗装のご依頼でお伺いしました。屋根の状態は足場設置後に細かく確認する予定でしたが、実際に屋根に上がってみると不自然な点が見つかりました。

割れや反りが発生している違和感のあるスレート屋根

屋根材が全体的に薄く見え、反りや砕けが発生しています。定期的なハウスメーカーの点検記録では特に指摘がなかったとのことでしたが、図面を確認したところ、屋根材はクボタの「グリシェイドNEO」であることが判明しました。

「ノンアスベスト屋根材のミルフィーユ状破損問題」とは?

築15年前後で屋根材が層状に剥がれたり割れたりする現象は、ニチハの「パミール」をはじめとする初期のノンアスベスト(無石綿)スレートで多発しています。

平成8年から13年にかけてのアスベスト規制強化に伴い、メーカー各社が一斉に無石綿商品へ切り替えました。しかし、当時の製品は耐久性の検証が不十分なまま市場に出回ってしまったため、施工後10年前後で急速に劣化が進むケースが相次いだのです。

劣化が表層だけでなく下層まで及ぶため、通常の塗装を行っても下地ごと剥がれてしまうという問題があります。

※ご自宅の屋根材にアスベストが含まれているかは、メーカーの公開情報で確認可能です。
参照:ケイミュー(旧クボタ・松下電工)石綿(アスベスト)に関する見解書

2. 施工ストップとハウスメーカーへの交渉

この状態でそのまま塗装しても長持ちしないため、お客様へ状況をご説明し、選択肢をご提示しました。

  • 現状のまま無理に塗らない(問題が再発するため)
  • 屋根の修繕方法を検討する(全葺き替えは予算負担が大きく、部分補修は足場代の観点から慎重な判断が必要)
  • ハウスメーカーへ保証・対応を相談する

定期点検を行っていたにもかかわらず不具合の指摘がなかった点について、お客様ご自身がハウスメーカーと交渉されることになりました。外壁塗装のみ先行し、屋根は高圧洗浄を済ませて一時中断としました。

屋根の高圧洗浄作業の様子

3. 補修作業の実施と「目標10年」の延命塗装プラン

約2ヶ月間の協議を経て、ハウスメーカー側が傷みの激しい部分の交換および接着補修を有償で対応する方針に決まりました。

傷みの激しい東面・南面は主に差し替え(交換)、北面・西面は接着補修が中心となりました。ルーフィング(防水シート)を傷めない工法で下地補修が完了したため、塗装による延命措置(目標耐久年数10年)へ移行します。

補修前の破損した屋根材 ハウスメーカーによる屋根材の一部交換補修後

色の黒いスレート屋根材は、劣化がひどいため交換された部分です。

使用塗料と施工工程

脆弱になった下地をしっかり固め、熱による劣化を防ぐ仕様を選定しました。

  1. 下塗りの選定:素材内部まで固める浸透性のカチオン型塗料と、表層を強固にする「2液型変性エポキシ塗料」を採用。
  2. 鉄部・金属部:赤錆止めと白錆止めの重塗りで防錆対策を徹底。
  3. 上塗り塗料:熱伸縮によるダメージを和らげるため「2液型遮熱シリコン塗料」を使用。

金属部への錆止め塗装作業 屋根材の隙間や段差を刷毛で丁寧に塗装

段差が深い部分はローラーだけでは塗料が入らないため、刷毛を使って1枚ずつ丁寧に塗り込んでから全体をローラーで仕上げました。

4. 施工完了と今後のメンテナンスにおける注意点

2液型遮熱シリコンで仕上げた塗り替え完了後の屋根

下塗りを手厚く塗り重ねたことで、補修跡や目立つ段差も自然に馴染み、きれいな仕上がりとなりました。

ただし、今回の施工はあくまで「次回の葺き替え・カバー工法までの延命措置」です。塗膜の接着力が持っている間は維持できますが、屋根材自体の強度が落ちている場合、将来的な全面改修は避けられません。

まとめ:傷んだ屋根材の塗り替えで失敗しないために

グリシェイドNEOやパミールなどのノンアスベスト屋根材は、状態によって「塗装ができる場合」と「塗装できない(葺き替え・カバー工法が必要な)場合」がはっきり分かれます。

予算が許すのであれば、カバー工法や葺き替え工事を行うのが最も確実で安全な選択肢です。

安易に「塗装できます」と請け負う業者ではなく、なぜその工法が必要なのか、リスクも含めてしっかりと説明してくれる専門業者に診断を依頼することをおすすめします。

執筆・監修:筒井 信裕(ペイントプロツツイ代表)【保有資格】 1級建築塗装技能士 / 2級建築施工管理技士(仕上げ) 【略歴・想い】 亜細亜大学経済学部卒業後、塗料メーカーの技術部にて塗料の専門知識と技術を習得。その後、住宅の塗装作業や公共工事施工管理業務を20年経験。 昭和元年創業の実家(塗装業・塗料販売業)で3代目として活躍…のはずが、事業承継を認められず一転して独立。現在はつくば・土浦エリアを中心に「ペイントプロツツイ」として外壁・屋根塗装、防水、防錆塗装など誠心誠意取り組んでいます。 メーカー出身の知識と職人としての現場経験を活かし、ごまかしのない適正な見積りと施工をお届けします。