クリエーターは絵コンテを無料で描けないだろ。常識的に考えて。
2007年12月7日
呼び出されるは元請の工務店。(ここ数年、仕事なんてもらってませんがね)
渡されるは、ぺらぺらの積算数字と、膨大な資料。
そして一言。「積算しといて。」
私「図面はないんですか?」
部長?「もってくなら、全部拾い出しといてね。その資料順に」
私「じゃあ、これ、うちに発注がきまっているんですね?」
不機嫌そうに部長は言いました。
「何言ってるの?それ、1月にある入札分だから。あ、来週ほしいんだよね。」
私は笑顔で言いました「ぜひお仕事決まるとよいですね。」
そして私はぺらぺらの、積算資料だけを手に、工務店をあとにするのでした。
さて、こんな風に描いたのは他でもありません。
「見積なんて無料だろ」と言わんばかりの横柄な元請の態度に、納得がいきませんでした。
ビジネスパートナーとしての立場でないんですよね、建設業界って。
上に立つものがえらい。そんな状態。
頭を下げても仕事にならない、他に仕事をするやつはいくらでもいる、
そんな業者使い捨ての時代。
こんな考えの業界が廃れていくのは、わかる気がします。
見積を丁寧に書いたところで、価格が合わなきゃ読まれもしませんし、
資料を提出したら、こちらで作った資料を安く施工できる会社に横流しされてしまうのは明白で、
見積するのがばかばかしくも思います。
かといって、提出しないものなら
「二度と仕事が来ない下請け八分」にされるという、
お前のものはオレのもの思想。
世の中の大多数の末端下請業者はこんなせちがらい現実と戦っております。
ここのどこに、本当のお客様がいるのか?
ここのどこに、顧客満足があるのか?
「きれいになってよかったね」「きれいになったねありがとう」
が一切ない、紙の上だけの話し合い。
タダで見積もりやるのが当たり前と考えている、組織形態。
私はそんな中に埋もれていたくはありません。
さて、「見積を無料で書くだけ損をする」と言いたいわけではないんです。
我々も住宅見積もりは無料で行っているわけですから。
ではなぜ、建築見積がいやなのか。
ホントにタダ働きになるのです。
住宅見積の場合、仕事になるかどうかの確率はお客様によってまちまちです。
しかし、建築入札の場合、明らかに「金額勝負」なのです。
「安さ」が絶対評価なので、例えば
「このメーカーのこの材料は同じ指定材料の中で一番よい」とか、
「この職人のこの仕上がり度合いは、他の職人より群を抜いてうまい」
といった、付加価値に対する、費用の上下が存在しません。
極端な話、
そこらへんのアルバイトでも、職人暦40年のベテランを使っても、仕上がればよい。
経験1年のにいちゃんと建築塗装1級技能士、支払われる工賃は、面積で考えると同じ。
という世界です。
住宅塗装でそんなことやったら、手抜き工事以前に、工事が仕上がりません。
が、入札書類上では同一評価です。
また指定メーカー「同等品可」となると4割くらい安い材料も存在します。
4割ですよ?勝負になりません。
まして大量ロットで頼むと半額とか。○割引後、半額。
・・・ケータイもびっくりです。・・・頼むからはじめから安くしてください。
発注が決まっているなら「ここをこうして、この金額でできる?」
という相談なら乗ることもできるでしょうが、ビジネスパートナーとして、
最初のような付き合い方をされると、もはや金額がどうとか言う以前に、人間として疑います。
・・・ペンキ屋やめようかな・・・(笑)の話なのです。
クリエーターの方が、企業アニメを頼まれて、シナリオ起こすことは、無料ではできないと思います。
発注が決まっていれば、そりゃやるかもしれませんが、
「シナリオ見てから決める」なんて注文の場合、シナリオが気に入らないから書き直してとか、やっぱりなかったことに・・・
なんていわれて、今まで掛けた日数分すら支払われなかったら、生きていけないはずです。
・・・実際にそれを食らったクリエーターさんもいるとかいないとか。お疲れ様です。
じゃあ、「シナリオ一本いくらで」なんて金額を決めたって、相手の望むシナリオは千差万別、
すべて事象や要求が違うものに手間やかかる日数、金額は違うはずなのです。
融通が利くなら無理もできるけど、金額や日数や工期を限定されたら、やはりできるできないはあるかと思います。
そんな「ないもの作れ、実費でな」という世界が、これから発展するとはあまり思えません。
逆にプロが参加してしまう「二次作品」のような物の品質が上がり、
クリエーターの「創作活動」が減退したのだと思います。
本当の無料でできる見積って、お客様やクライアントの要望を聞きながら、
「じゃあこうして、こうならいくらでやれます、こうならどうでしょう?」
的な、打合せとして存在するものや、
「仕事をお願いしたいけど、こういう状態ならいくらかかるの?」といった、
具体的な話ができることが一番だと思います。
相見積(見積もり合わせ)になるなら、初めからそういってくれれば、気持ちも楽ですし、
逆に「じゃあオレの本気を見せてやるヨォォ!」
といった、価格なり、施工品質なりを提供できるような見積が作れると思います。
私の場合ですか?私はいつだって本気さ?
見積をしてもらう側も、察しと思いやりをもって、注文して下さる物にたいしては、いくらでも頑張りますし、折り合いが合わないことについて断られてもちっとも悔しくありません。
皆様もどうか、自分のパートナーになってくれる塗装店さまと、お家の塗り替えをご相談して頂きたいと思います。