樹脂の違いによる強度耐久性を考えるのは潮時かもしれない。
2007年12月2日
さて、品質、という点で前回材料にこだわるべきだと言ったのに、
意見を曲げないというプライドなんて微塵もない筒井です。
塗料は、樹脂によって強度や耐久性が違うというのは、
昨今のペンキ屋さん、私もそうですが理解があると思います。
それがホントに長持ちしているかどうかは現場を見ればわかりますし、
見に行くと、「良いものは良い」結果がごろごろしてます。
一方、まだキレイなのに塗りかえられちゃったりする物件もあったりで、
塗装が本当に長持ちさせる必要があるのか?という点はいつも悩みながら、
自分なりの答えを探しているところです。
簡単に説明から。
合成樹脂→アクリル樹脂→ウレタン樹脂→シリコン樹脂→フッ素樹脂
の順に、かなり大まかですが、耐久性や価格が良く(高く)なっていきます。
また、建築塗装業界では一般には、
「水性型より溶剤型の方が強い」「1液型(弱溶剤と呼ばれる)より
2液型(硬化剤は入るタイプ・強溶剤と言われる)の方が良い」
とされています。
そして、さらに、2液(硬化剤入るタイプ)の弱溶剤(塗料シンナーで伸ばすタイプで1液型の性能で2液型と同等)
とか、面白いものがあります。
さて。
そうなると、1液弱溶剤のシリコンと2液強溶剤のウレタン、どっちが長持ちする?
とか、
水性のシリコンと2液弱溶剤のウレタン、どっちが長持ちする?
とか、なるんです。
厳密に言ったら、塗膜強度や耐候性は、化学結合の強い方といいたくなりますが、
データの数字だけ見ると、その差もほとんどなくなってきました。
メーカー基準試験はどんな塗料も一定の試験にクリアするかどうかなので、試験結果時点では、どれもほとんど変わらない結果が出ちゃうはずなんです。
となると、お客様だって我々だって、メーカーの発表した資料を鵜呑みに、信じて説明や仕様を組むしかありません。
お客様がホントに良い塗料使っているの?と聞かれると、我々は塗料缶に書かれているものしか判断がつきません。塗料だけ見てもわからないのです。乾燥した塗膜を燃して臭いを嗅いでみたりするとわかることもありますが、ほとんど塗料だけではわかりません。
塗って数年立った結果、長持ちした・しないの判断をすることになります。
まさに信用しか信じるものがない事実に、我々もびっくりです。
地球上にいる限り、光や空気に暴露する部分では劣化は塗ったときから始まります。
劣化を出来る限り抑えることや、汚れにくくすることは出来ますが
「10年後、塗りたてのようなきれいさの維持」
はまず無理なのです。
となると、住宅の塗替え時期の説明として、
ウレタンなら7年くらい、シリコンなら10年程度、フッ素なら15年でも長持ちしますよー。
という説明も、なんだか根拠のないものに・・・。
実際問題として7年後に塗替えしなきゃいけないわけでもないですし、10年たったら塗料が良くてもひび割れだの、いろいろ傷んでくるかもしれない。15年以上長持ちする塗料を塗っても、10年後、塗った色に飽きるかもしれない。
ライフサイクルで考えれば、期間が伸びれば、施工時の金額が高くても、メンテナンスサイクルコストは低くなるかもしれません。でも、そのまで考えて塗料を選んでも、長持ちするかどうかは事象ごとに違う・・・。
・・・そんないろいろな事象を考えると、「よい品物ですから最初高くてもお得ですよー?」というオススメの仕方が正しいのか不安になります。
また、塗料は「半製品」という言い方をして、我々塗装店が施工して塗ることによって、始めて商品・製品になるわけです。
お客様の予算や考えにあった品物と提供するのが私の仕事ですから、当然変なものは紹介できませんが、
良い品物を使うお客様の価値は大きくなるかのしれないですね。
「お客様、こちらを選ばれるなんてお目が高い!」みたいな。
だた、そういう場合、ちゃんとして製品を提供するためには、塗料だけでなく、
塗装する「人」も、価値がなくてはいけないと思います。
そうなると益々、きちっとした管理の塗料を、しっかりした作業員に使ってもらう、ことを優先するべきであって、塗料のグレード云々ではないと思わなきゃですよね、塗装店が。
どうも末端の我々が、いろんな情報操作を受けている感が否めなかったので、自分のためにも確認したいです。
・・・まぁ、一番は高級仕様を安値でできるというのが、目指すべきところなのでしょうね。
頑張りまーす(笑)。
塗料の中身も大切ですが、塗料を日々使っている我々もしっかりした中身にならなきゃいけませんね。